理事長所信

第66代理事長佐藤二郎

はじめに

今日まで、「明るい豊かな社会の実現」を目指し、昭和 26 年創立以来、我々 の先輩たちは長きにわたりこの地域と共に歩み続け、様々な功績を刻んでこられ ました。
昨年は創立 65 周年という節目を迎え、若き情熱と弛まぬ努力で、受け継がれ た歴史の重さをあらためて実感しております。 その歴史や功績は我々能代青年会議所にとっての誇りであり、継承した「想い の連鎖」を断ち切ることなく、己を律し、覚悟をもって邁進してまいります。 より良い未来を創り続けることこそが、我々の使命なのです。

【青年経済人として理解を深める經世濟民と野心的意欲の喚起】

青年経済人としての国民経済理解

ー地域発展なくして自社の発展なしー

1998年以降社会に出た我々世代は、約20年デフレを経験し、経済の停滞や成長しないことが当たり前のように感じられます。とりわけ地方においてこの不況が続いた結果、倒産や失業により職を失い郷土を離れざるを得ない人びとや、 実質賃金の低下による消費の減少、また、廃業や倒産によりこの会を去らねばならない会員がいたことも事実です。
この20年、グローバル資本主義の蔓延により、効率性重視や利己主義的な、公共心が欠乏している考え方や空気に支配されているように思われます。それにより新自由主義的な改革ばかりの経済政策、それを支持する報道が多いことに疑問を感じざるを得ません。これは、本来の経済の目的、語源である「經世濟民」~世を治め民を救う~言い換えれば、「世の中を能く代える」という意味を忘れてしまっているのではな いでしょうか。
このような状況だからこそ、まずは我々青年経済人が率先して、国民経済や地域経済への理解を深め、利益至上主義や合理性ばかりを追求するのではなく、道 徳無き経済から脱却し、社会に貢献する「經世濟民」に立ち返ることが重要であり、それが社会のためにも、いずれ自らのためになるはずなのです。

野心的意欲の喚起

ー不確実な将来であっても、勇気と希望的観測をもって投資や行動する経営者の魂ー

 現在、銀行の貸し出し態度はバブル期並みだといわれ、投資を行いやすい条件 が整いつつありますが、その投資をけん引するための政府による積極的な財政政策がなかなか進められておりません。それに対し経済学者のスティグリッツやクルーグマン等、金融政策だけではなく財政出動を望む声も聞かれ、こういった声は2008年のリーマンショック以降、少なからず増えてきております。
 我々青年会議所は企業経営者や企業の中心で活躍する人材が多く所属しており ます。企業の成長は投資によって拡大し、投資は地域経済を豊かにする要因の一 つです。しかし、需要が見込めず投資が起きにくい状況が続いております。もち ろん需要が伸びる分野もありますが、デフレの時は俯瞰的に伸びていないのが現 状です。
 国や地方に豊かな経済社会を取り戻すためには、政府の財政出動はもちろん、地域経済を担う我々民間企業にとって、投資を行う「野心的意欲の喚起」が重要であるということを理解することが必要なのです。

異端の発想にこそ突破口がある

20年にも及ぶ長期不況、もはや経済の常識は通用しない。不況脱出の答えは、理論や通俗観念にとらわれず普段から実体経済に接し観察している、我々青年経済人の異端の発想にこそ突破口があるのかもしれません。
今我々が何かを起こさなければ、現状は何も変わらず、現在抱える社会問題も加速することとなるでしょう。さらに、自分たちの次の世代まで不況が続くかもしれません。そうならないためにも、失敗を恐れず行動できる今だからこそ、デ フレ脱却に向け一石を投じなければならないのではないでしょうか。
我々青年会議所会員が、自律した青年経済人へと成長することで、一人ひとりが持つ可能性を高め、行動力を発揮すれば、明るい豊かな社会を取り戻し、「この地域を変え」「この国をも動かす」と私は考えます。
今こそ我々青年が未知の可能性を切り拓いていかなければならないのです。

【想いを引き継いだ拡大運動】

自己を磨く修練の場

青年会議所とは20歳から40歳までの限られた期間の中、一年毎に様々な機 会や役割が与えられる単年度制という特徴を持ち、まちづくり、ひとづくりを通して課題に挑戦し、そこでの体験や苦労を通じて得る、仲間との絆や信頼関係、 地域との関係性から、自己成長につながる修練や奉仕の場であります。さらに、自分の時間の多くを費やす、長期的な投資であって、決して短期的な利益や合理性を求める投機ではありません。リスクを恐れず血気盛んに自己投資することにより、自己のさらなる可能性、ひいては野心的意欲を発揮できる有益な場となり 得るのです。
多くの仲間との出会い、人が人を磨き上げ成長を遂げ、やがてはこの地域を変革する人材を生み出す。私はこれが青年会議所の魅力であると考えます。
その投資行動は、JC学校を卒業したのちに、そこで培われた経験や仲間との信頼関係から、次のステージへと飛躍する土台となるのです。

想いを引き継いだ拡大運動への挑戦

全国的にも会員減少傾向が続いており、会員拡大の必要性が叫ばれております。会員拡大とは、先行される課題ではなく「明るい豊かな社会」の創造のため、仲間を増やさなければならない、昨今の会員減少傾向がみられる前から続いております。会員減少は、青年会議所活動を行ううえで我々の組織力の低下や、最大の 武器である行動力にも影響しかねません。それは、この地域にとって「明るい豊 かな社会」が遠のくことになるのではないでしょうか。
しかし、LOMで行ってきた過去の経験から想いを継承し、拡大成功事例や会員への取り組みを学び検証したうえで、LOMの現状を把握し見直しを図り、再構築することで危機的状況に陥ることを、防ぐことが可能であると考えます。
我々は、高い目標を掲げ拡大運動へ挑み続ける。挑戦者たらねばならない。

【地域資源を活用した次世代育成事業の実施】

次世代育成事業において我々は、子どもたちを地域のたからの原石と捉え、地域にある伝統文化や地域資源を活用し、人々とのつながり、夢や希望、思いやりの心である道徳心、無限の可能性に挑戦する志を育む事業など、様々なカタチで学校教育にはない独創的な郷土愛溢れる次世代育成事業を行ってまいりました。
より良い事業を実施するためにも、過去の事業検証を行い、経験やノウハウな どの運営面を、時代に即し改善した計画を立て、減少傾向にある予算面を鑑みて、費用対効果の高いより公益的な事業を、再構築する必要があると考えます。単年度制であるため、一年間でできることは限られます。結果を急がず、今まで積み重ねてきた次世代育成事業をさらに成熟させることが大切です。
また、「地域のたから」を保持し育成するためにも子どもたちや、その親世代に伝えていくことが重要であり、次の世代が心から「地域のたから」を愛する人間に成長していくことが、いずれ地域活性化への原動力となっていきます。地域に根差し必要とされる次世代育成事業を目指してまいりましょう。

【秋田ブロック協議会会長輩出LOMとしての支援体制の強化】

本年は2005年以来となる秋田ブロック協議会会長を輩出いたします。秋田ブ ロックは日本青年会議所(本会)、東北地区、ブロックと続く本会の組織です。能代青年会議所においても本会の運動を取り入れ、共通の意思をもって運動展開を行わなければなりません。本会の望む方向性を実現することは、ブロック支援の一環であり、本会を理解することで組織力の強化につながると確信しております。
相互の連携を強化していくとともに、ブロックチャーターLOMとしての気概を再認識し、サポートに努め取り組んでまいります。

おわりに

― 己を律し、覚悟を持って挑戦しよう ―
― 一人ひとりの自律が地域を変える原動力となる ―
2003年入会以来、JC学校で様々な経験をさせて頂き、「修練」「奉仕」「友 情」の三信条のもと我武者羅に活動してまいりました。
青年会議所活動において、一年という短期間でできることは限られ、人の心を 動かすことは難しいことです。しかし、困難な状況でも失敗を恐れず挑戦し、志を同じくする仲間と共に取り組むのであれば、ひとりでは諦めてしまいそうな状 況であっても、仲間と知恵を出し合うことで、時に偶発的斬新なアイデアが生ま れ、困難に立ち向かうことができるはずです。 高い目標を掲げ一丸となって挑戦し続けることで、絆を深め合い、成功の喜び や、失敗すらも糧にし、Jayceeとして己を律し、志を貫くことで、能代青年会議所はさらに輝きを増し、より一層、地域に必要とされる組織になるものと確信します。
― 決して後悔せぬように勇気を持って踏み出そう ―
― 我々の行動がより良い未来を創るために ―

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