理事長所信

第70代理事長伊藤竜佑

はじめに

 「行雲流水」~雲が移りゆくように、水が流れるように~、私自身、自分の人生はそのように過ごしていくと思っていました。自然の流れに身を任せることは悪いことではありません。しかし、私の場合は無難にやり過ごして終わりたいという意味からこの言葉で逃げていたのかもしれません。そんな私の変化の無い流れの中に、責任という石(意志)を置いて流れを変えてくれたのがJCとの出会いでした。入会当時は無難に終え卒業することを考えていましたが、この能代青年会議所で出会った仲間、過ごした経験が私に責任というものを気づかせてくれました。多くの人が人生という流れの中、自分の思う流れで進んでいくことでしょう。人生の流れを変えることは生きる上で遠回りかもしれません。その遠回りは決して、無駄なものではなく人生の厚みとなって自分に還ってきます。JCは真剣に向き合えばそれだけ、変化や気付きを与えてくれる場所です。少し人生の流れを変えてみませんか。やりきった先にはきっと今とは違う自分が存在しているはずです。

地域を担う青年としての責任

 この地域の10年後、20年後を真剣に考えたことはあるでしょうか。RESASの地域分析システムによれば、ここ数年、この地域の経済や人口は低下の一途を辿っていることがわかります。少子高齢化や都市部への人口流出で人が少なくなっていくことは仕方のないことだと思ってはいないでしょうか。私自身、青年会議所に入会する前は、同じく思っていたひとりでもあります。そのような想いの人がまちを良くすることはできません。私が青年会議所で出会った先輩からは、「俺たちがやらないと誰がやるの?」や「自分の会社だけ良くても意味がない、地域が良くならなければ会社は続かない。」等の熱い言葉をいただきました。しかし、その時代の青年達がこのように想い行動しても地域の衰退を止めることが出来なかったのは事実かもしれません。それでも、このように考える青年達がいたことにより、地域の衰退に歯止めをかけていると言えるのも過言ではありません。我々青年会議所は、この想いの連鎖をつなげていかなくてはなりません。衰退から発展へ向けこの地域を持続可能なものとするには、青年会議所の運動が地域にポジティブな変化を与え、この地域に住み暮らす人々の意識変革をすることが必要です。そして、全ての人に前向きなまちづくりの意識と責任感を抱かせることが我々に与えられた使命だと考えます。

持続可能なLOMを実現する拡大運動

 70年の歴史を紡いできた能代青年会議所ですが、最盛期には100名ほどの会員が所属していたものの、近年は40名弱の会員数を推移しております。時代とともに、人口減少が進み会員減少も進むことは自然な流れではありますが、この地域から青年会議所運動の火を絶やすわけにはいきません。この現状を打破するために昨年会員拡大計画を作成しました。この計画は決して無理難題でも無く、達成できるものだと確信しております。本年の拡大運動はこの計画を基に行います。計画の中でも触れてはいますが、拡大は担当の委員会だけではなく、全会員で行い、特に理事長が先頭になって行ってまいります。また、拡大運動とは、新たな人を迎え入れることが最重要事項ではありますが、LOMの魅力と会員の意識の向上も大事だと考えます。まずは、各会員が青年会議所運動の魅力や在籍する価値を再認識し、意識の共有をすることで拡大運動のモチベーションを高めます。そして、全会員がそれぞれ青年会議所運動に誇りをもち、組織としての魅力や価値を語ることができる人となれば、新たな仲間の増加につながると確信しております。

自発的な行動と責任感を生む次世代育成

 スマートフォンや、インターネットの普及により、未来を担う次世代の生活も変化しています。我々が子どもの頃は、山でキャンプや、川で魚を捕まえる等のイベントが多く見られましたが、時代の流れとともに減少傾向にあると思います。過去に習い、郷土の魅力に触れ、過去を懐かしむ事業を行うことも必要かもしれませんが、今の時代の次世代にはどのようなことが求められているのでしょうか。これまで様々な次世代事業を展開して参りましたが、次世代が自ら企画し実行するといった事業は少なく、あくまで大人が考える次世代に必要なことの事業だったのではないしょうか。簡単に情報が手に入る時代になったからこそ、自らが考え、自らで地域を担うという責任に気付くということが必要です。次世代自身でこの地域の魅力や未来を考え、同世代に発信し、アクションを起こすことができれば、この地域を担う次世代の中で、この地域が好きという郷土愛から、この地域を背負うという責任感に変化する有機的な連鎖となるはずです。青年会議所の培ってきたノウハウを活かし、我々大人世代が背中を押し、次世代が自ら考え実行できる事業を展開してまいります。

持続可能な地域へ向けて

 2019年に日本青年会議所はSDGsを日本で最も推進する団体となるべく、SDGs推進宣言を行いました。SDGsの一番の目標は、持続不能ではなく、持続可能な地域や国を創り上げていくことであります。青年会議所にとっては、創立時より展開してきた運動と近い理念であり、青年会議所がSDGsを推し進めるのは時代に即したやりかたであります。我々能代青年会議所も、この地域を持続可能なものとするために地域活性化事業や、伝統文化復活事業等の様々な事業を展開してまいりました。それはすでに終結の形を迎えたものや、今もなお続いているものもあります。崇高な理念のもと、綿密に計画され実行したものでも、時代に合わせてアップデートしていかなければその効果も徐々に失われていくことでしょう。70年の歴史の中で青年会議所が関わってきた事業をただ見ていることは出来ません。新しいものをクリエイトし、地域に活力を与えつつも、過去を振り返り、できることを考え、能動的に関わってこそ持続的な地域の創造の一助となります。

効果効率を考えた運動発信

 JCの発信下手ということを聞いたことはないでしょうか。青年会議所の運動は誇るものがあるものの、それがあまり認知されていないということです。運動の発信が上手くいかないということは、市民意識の変革を担う団体として、その運動の効果を薄めてしまっているとも捉えられます。近年のインターネットや、SNSの普及でもそれらをいち早く導入してはいるものの、どれも効果的に運用しているとは言えません。数年前までは、情報発信の手法は選ぶほど多くありませんでしたが、現在ではそれを見極め、数あるツールの中から本当に必要なものを選別しなければなりません。また、それは時代の流れや、ターゲットにする世代でも変えなければなりません。我々の運動をどこに、どの世代に発信したいのかを精査する必要があります。また情報発信の速度も技術の発達により進化してきました。さらには、情報発信は早ければ早いほど価値も上がります。個人のスマートフォンの普及でPCやホームページとの連動も容易となり情報の発信方法も大きく広がっています。様々な手法の中から効果効率のよいものを模索してまいります。我々の運動が地域へ伝播し、ポジティブな変化を与えるためにも、効果と効率を考えた戦略的運動発信を行ってまいります。

継承と変革からなる70周年事業の実施

 創立より70年の歳月を経て、能代青年会議所は今もなおこの地域に根差す団体として存在感を示しております。高度経済成長期からバブル崩壊等、時代が劇的に変化しても、まちを良いものにしていきたいという青年の熱い想いは変わらず、現代の我々にも脈々と受け継がれています。また、そのような逆境下においても困難に打ち克ち、今の地域を創造してきました。本年は、昨年に引き続き、コロナ禍という困難が待ち受けています。コロナ禍は我々にとっての試練でもありましたが新たなワークスタイル、ライフスタイルの確立等の新たな気づきを与えてくれました。青年会議所も事業の構築方法から会議の手法まで変革を迫られています。今こそ70年の歳月を経て継承してきた能代青年会議所魂をもってこの困難に挑戦し、組織をより良い方向に変革してまいります。また、周年の意義は、「確認」、「感謝」、「発信」と考えます。まずは「確認」として、この70年の歴史を振り返ることにより、全会員が変わることのない能代青年会議所のまちづくりに対しての情熱と矜持を継承します。さらに、この地域で70年の間、青年会議所運動を展開できたのは、決して我々だけの力ではありません。それはこの地域で共に活動する関係諸団体や行政、地域の人々の協力があったからこそだと思います。「感謝」というものは、言葉で表すこともできますが、我々の場合はこれからも地域のための運動を展開することが地域への感謝だと考えます。最後に、これからの能代青年会議所の在り方を「発信」し、80周年やこれからを見据え、この地域を輝くものとするためには何が必要かを考えた事業を行ってまいります。

結びに

 新型コロナウィルスを起因とするパンデミックは、この地域だけでなく、世界を巻き込む脅威となっています。我々の活動もその影響を大きく受けてきたのは事実です。しかし、70年続く能代青年会議所は、どんな困難であろうと立ち向かい、乗り越えてきたという歴史があります。この歴史は現在活動しつづける我々に多くのヒントや勇気を与えてくれます。このコロナ禍で、「自粛」という言葉は人々の脳裏に焼き付いたことでしょう。しかし、何かをしなければと思った人も少なくないでしょう。何もできず後悔した人もいるのではないでしょうか。青年会議所にいるからこそ、こんな後悔はしたくないではありませんか。私は青年会議所こそ、この状況下でも動き出せる場所だと確信しています。さらには、動きを止めないことが我々の責任です。立ち止まらずに、動き続けましょう。我々の行動が地域をそして未来を創ると信じて。

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