理事長所信

はじめに
能代青年会議所は終戦間もない復興期の中、1951年10月27日、多くの青年により高い志と溢れる情熱、固い絆と友情の元、全国で23番目の青年会議所として設立されました。いつの時代も明るい豊かな社会実現のために日々奮闘し、熱い議論を歴々と重ねてまいりました。私たちは地域に寄り添い、地域にとって必要な存在であり続けるべく、これまでそしてこれからも運動・活動を推進していく覚悟であります。そして本年度、理事長を拝命するにあたり、理事長職にはふたつの責務があると私は考えます。ひとつは「選択」、もうひとつは「決断」です。ご承知の通り、私たちの生活様式は一変いたしました。青年会議所も例外ではなく、一昨年から続くコロナ禍によって様々な変化がJCI能代に齎されました。会議はWebでのハイブリッド化が進み、事業においても非集合型による事業構築が主流となりました。また、その陰で数多くの集合型事業が日の目を浴びることなく断念せざるを得ない状況となり、年の代表理事は社会情勢を鑑み都度最適な選択と決断の適否をリーダーシップのもと実行してまいりました。そして本年度、理事長を務めるに辺り、私自身多くの選択と決断の岐路に立つ場面が必ず来ます。より良い未来に辿り着く道であると信じ、己の選択と自身の決断のもと、一歩先を見据え半歩先に行動を起こせる組織となり、みなで2022年度を切り拓いてまいります。
社会に寄添い、子供達と共に成長を
青年会議所は毎年かたちを変えて様々な青少年育成事業に取り組んでいます。本年は学校分野以外の教育に取り組んでまいります。分野以外の教育、その根源にありますのは、私が過去に日本以外の地域で生活し、経験し、海外に住み暮らす子供達の現状を目の当たりにしたことに起因します。学校に通う事のできない子供達を私は見てきました、学校に通うために必死で働く子供達を私は知っています。しかし、子供達は社会を生き抜くための手法をたしかに身に付けていました。日本と海外では生活水準や環境に大きな違いがあります。しかし、同じ時代を生きる次世代の子供達に他なりません。日本に住み暮らす子供達にも彼らのように強くあってほしい、私はそう強く願っています。なにより、青少年育成事業はなくしてはならない事業です。仮に参加者の子供達が50名だとします。日本には600を超える青年会議所があります。毎年何万人もの子供達が青年会議所の事業に関わってくれます。育成事業とは事業を描くのではなく、私たちは地域の未来、そして、子供達の夢を描かなければなりません。それこそが青少年育成事業の本分であり、これからも継続していかなければならない青年会議所にとって大切な事業、運動のひとつであると私は確信をしています。
郷土を愛し、地域と共に成長を
地域に根差し成長をしていくうえで、日本青年会議所が推進するSDGsは達成を測る基軸として重要な役割を果たしています。そして、SDGsは性質上3つの分野より構成をされています。1つ目は海や森・自然といった生物圏環境分野、2つ目は健康や福祉・公正といった社会圏分野、3つ目は消費や生産・技術革新といった経済圏分野です。能代青年会議所はこのうちの2つ目、社会圏分野に目標を定め1年間事業を推し進めてまいります。なにより、SDGsを語るうえで社会とは何か、まちとは何か、まちをつくるというまちづくりについてずっと考えてきました。まちづくりとはひとづくりと同様に、強い意志と愛情、明確なビジョン、なにより地域へのリスペクトが必要不可欠となります。そして、まちづくりをおこなう人には、地域への愛着と思い、理想、理想を実現するための行動力が求められます。このまちの現状が嫌で、こんな筈ではないという地域を愛するがゆえの憂い、それこそがまちづくりという言葉の本質であると学びました。2022年度能代青年会議所はSDGsという明確な目標も取り入れ、社会圏分野にゴールを定め、このまちで、地域より、行動を起こしてまいります。
誇りを持ち、仲間と共に成長を
青年会議所の特徴の1つに、単年度制であることから毎年役職やその担いが変わるという点が挙げられます。その中において継続事業というものは基本的にはありません。同じような事業であっても、反省点を踏まえ毎年少しずつ改善を加えていくのが青年会議所の事業構築の基本的な仕組みとなります。しかし、唯一、青年会議所設立以来、変わることなく継続され続けている事業がひとつだけ存在します。その事業こそ、会員拡大運動に他ならないと知ったとき、私は改めて拡大運動の大切さを痛感いたしました。それでは、何故会員拡大は必要なのでしょうか。会員の絶対数は組織体を運営していく上で必要不可欠となります。これは正論であると私も考えます。しかし、本当にそれだけでしょうか。青年会議所にとって会員拡大とは、青年会議所を語り、青年会議所を全く知らなかった者の心を揺さぶり、同志になって頂く運動に他なりません。たしかに対外事業によって市民意識を変え、社会に良い影響を与えることも重要です。しかし、その対象者である市民が私たちの仲間になって頂くことが叶えば、組織としての影響力は計り知れないものにつながります。なにより、拡大運動は組織の存続のために行うものではありません、明るい豊かな社会を築くために行うべき運動です。これからの地域の未来を本気で考え、一緒に行動できる仲間を見つけ出し、共に成長をしていくことこそが、会員拡大運動の真の理由であると私は信じています。
能代青年会議所ビジョン
青年会議所運動をより強固に伝播するには、持続可能なまちづくりに向けた全体構想を描き未来に紡いでいくことが大切であると考えます。私たちはこれに先駆け中長期計画「JCI NOSHIRO Vision & Plan」を2019年に策定いたしました。中長期計画は能代山本地域の現状を踏まえ、どのような方向性で以って地域をより良くしていくかを示す道標として重要な役割を担っています。そして、そのプロセスに至るには、これまで以上に一人ひとりが地域の課題と向き合い、様々な変化やリスクに対応し得るソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)の理念を持つことが必要です。また、体系としても、これからの時代の変化に対応し、受け入れるしなやかさを兼ね備え、共感を呼ぶ柔軟で開かれた組織が求められます。本年度はビジョン&プランにおける組織体系に重きを置き、育成に関わる個の開発に寄り添い推進を図ってまいります。
挑戦する人材
役員会議の場では、事業背景や目的、設定した目的を実現するための手法について容赦のないフィードバックがきます。構築された資料に対し本当にそれでいいのか合点がいくまで熱い議論が続きます。委員長は委員会で揉まれ、委員会の承認を得た資料を事業計画書としてまとめ上げます。しかし、上程した資料は役員会議で一蹴されることもあり、委員長は多くの意見と質問を委員会に持ち帰り委員と共に事業計画の練り直し、資料修正を余儀なくされることがあります。このプロセスを短期間で何度も回せるからこそ、青年会議所は勉強になるのだと教えられました。委員長は「委員長」という役職を経験し、時間の作り方、計画書の書き方、委員会を構成する会員との役割分担の持ち方など様々な調整能力を身に着けていきます。しかし、一連のシステム運用において、忘れてはならないことがあります。それは役員会議の場において、委員長の考え方と価値観を否定してはならないという点です。考えを否定するという行為は対象委員会に属する委員全ての価値観を否定することにつながりかねないからです。私たちは挑戦する会員の意志と機会を奪ってはいけません。役員会議の在り方とは、委員長そして委員会に属する会員の事業実現力・事業構築力を引き出すことに本質があります。それこそが青年会議所の掲げる人材育成のひとつであると私は考えます。青年会議所の起点となり共に事業構築に挑んでまいりましょう。
発信の強化
情報発信において、能代青年会議所はホームページの充実を図り、近年はSNSを通じての発信活動にも力を入れています。しかし、目に見える成果としての実感を得るに至ったと言えるでしょうか。見逃してきた手法、発信のための手段の道は他に残されていないのでしょうか。私は思います、現在の発信方法は受け身に近いものがあるのではないか。たとえこれまで以上にホームページを強化し、SNS発信における技量を高めたとしても、決定権は常に検索する側の意思に委ねなければなりません。発信を強化するには人々の目に触れる機会と回数を増やし、創出できる仕組みを構築していく必要があると考えます。ホームページ、SNSはそのための重要な受け皿であり、受け皿を活かすための発信方法を取り入れ、私たちは試行錯誤を重ねていかなければなりません。2022年度共に発信活動に取り組んでまいりましょう。
結びに
青年会議所運動に終わりはありません。ひとつクリアしてもその先にはまた新しいテーマが生まれるからです。問題提起と解決の積み重ね、その先にこそ明るい豊かな社会が広がっているのではないでしょうか。なにより私たち現役が今こうして運動を展開していけるのは、先輩諸氏が紡いできた勇気ある行動と変革の賜物に他なりません。私たち青年は青年会議所の理念を受け継ぎ、課題における解決の突破口を模索し、人々の行動と地域の在り方に影響を与えられる団体として運動を展開して行かなければなりません。そのためにも地域に住まう人々へ、どのように青年会議所運動を伝播していけるかが重要となります。また、地域の誇れる点だけではなく、改善すべき点についても的確に捉える力が求められます。地域の魅力を掘り下げ有意性を再認識するだけではなく、地域の弱みにもきちんと光を照らすことが青年会議所運動を継続していくうえで大切な事柄であると私は考えます。もちろん、実現のためには多くの時間と労力を捧げなければなりません。しかし、必要とされる力が大きければ大きいほど、得られる効果もまた増大いたします。一人ひとりが抱く地域への思い、愛する精神を育むことで、より良い未来に辿り着けると私は信じています。地域を思う全ての人々と共に行動をしてまいりますことお誓い申し上げ、2022年度所信表明とさせて頂きます。